約 2,307,723 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2284.html
キズナのキセキ ACT0-1 悲劇の後 ◆ それは、久住菜々子が中学二年生の時だった。 三泊四日の修学旅行。行き先は京都。 定番の場所であったが、クラスメイトと行く旅行はことのほか楽しかった。 おみやげを買った。両親と、近所にすむ祖母に。 喜んでくれる顔を想像し、菜々子の顔も今からほころんでしまう。 空が夕闇に染まる頃、菜々子は帰宅した。 「ただいま」 という菜々子の声に応えたのは、聞き慣れた両親の声ではなかった。 ひどくしわがれた声。 まさかよく知っている人物の声とは思えず、菜々子はつい身構えてしまった。 テーブルの前に座っていたのは祖母だった。 とても若く見える人だったが、今日ばかりは十年も老け込んだかに見える。 驚いている菜々子を、祖母は着替える間も与えずに連れ出した。 タクシーの中で菜々子は尋ねた。 どこへ行くのか、お父さんとお母さんはどうしたのか。 しかし、祖母はうつむいたまま、答えようとはしなかった。いつも明るく、おしゃべりな人が、今日に限っては、何も話さない。 タクシーが着いたのは、隣の市にある大きな総合病院だった。 菜々子は不安になりながらも、祖母について、中に入る。 飾り気のない病院のソファーに座っていると、やがて一人の看護士がやってきた。 両親に引き合わされた。 壊れて止まった腕時計がお父さんで、半分焼け焦げたカメオのブローチがお母さんだった。 菜々子は烈火のごとく怒った。 バカにしている。 確かに腕時計は父のものだし、ブローチは母のお気に入りの品だ。 だが、これが両親などと何を言っているのか。 お父さんとお母さんはどうしたのか、何かあったのか。 祖母が弱々しく説明した。 交通事故だった。 夫婦で出かけた日帰り旅行の帰り道。 高速道路での玉突き事故で、車が炎上した。 特に両親の車はひどい状況で、遺体も回収はしたが、とても菜々子には見せられない状況だという。 それで納得行くはずがなかった。 菜々子は激しく抵抗したが、結局親の遺体を見ることはかなわなかった。 あれよあれよという間に葬式が執り行われ、両親の遺影が黒い額縁に納まっていた。 全く実感がなかった。 泣く暇もなかった。 だが、もはや自分を守ってくれる親はいないのだと、すぐに思い知らされた。 葬式の翌日、親族会議が開かれた。 そこで親戚同士が罵り合う様を見せつけられた。 どこの家族も、中学生の女の子を引き取る余裕はなかった。 まったく、とんでもない時に死んでくれたものだ。 残された菜々子の前で、伯父や叔母が堂々と言っていた。 すでに菜々子は厄介者であり、邪魔者であり、誰からも必要とされない存在に成り下がっていた。 それどころか、両親が死んだことすら菜々子の責任にされそうな勢いだった。 醜く怒鳴り合いながら、菜々子の身柄を押しつけ合う、母方の親戚たち。 味方だと思っていた人たちは、もはや敵だった。 中学生の菜々子に発言する権利はなく、下を向いて、自らの運命の行き先が決まるまで、じっと耐えるしかなかった。 やがて、議論が膠着状態に陥った頃。 一人の婦人が発言した。 父方の祖母。 菜々子を病院に連れてきてくれた人であり、父方の親戚で唯一この場にいる人物だった。 「あなた方の考えはよく分かりました。菜々子をあなた方に任せるわけには行きません」 後から思うと、この時の祖母は怒っていた。 本当なら、父と母の代わりをしてくれる人たちの側で健やかに育つのがよい、と考えていたので、今まで口を挟まずにいた。 だが、もはやそれどころではないと、会議に介入したのだった。 静かだが堂々とした口調で、菜々子を預かることにし、母方に絶縁同然の宣言を行った。 こうして、菜々子は父方の祖母……久住頼子のところに身を寄せることになった。 この時の菜々子は、それすらもどうでもよかった。 ただ、嫌がられる親戚のところへ行くよりは、独り身の祖母の元の方がまだましに思えた。 □ ここまで聞き終えたところで、俺はすでに後悔していた。 聞くんじゃなかった。 話が重すぎる。 こんなプライベートな話に、菜々子さん本人を抜きにして、踏み込んでもいいものか。 だが、俺はそれでも聞かなくてはならなかった。 菜々子さんの過去を知らずして、彼女の力になることなどできないのだから。 頼子さんが、ちょっと気遣わしそうな顔で、俺を見ている。 俺はぬるくなったお茶を一口飲むと、先を促すように頷いた。 ◆ 近所に住む祖母は、父方のただ一人の親戚だった。 婿養子であった祖父は、二十年も前に他界している。 もともと資産家であった久住家には、祖母には使いきれないほどの財産があった。 久住の本家とも言える大きな邸宅に、祖母は独りで暮らしていた。 菜々子が両親と住んでいた家も、もともと久住家の持ち物である。 そんな金持ちの祖母は、余生を静かに過ごしている……ということは全くなく、しょっちゅうどこかに出かけていて、ろくに家にいない。 趣味で遊び歩いていることもあるし、友人と旅行に出かけていることもあるし、奉仕活動や地域ボランティアに精を出していることもある。 なんとも掴み所がない、アクティブな女性だった。 そんな祖母はいつも笑顔を絶やさず、若々しく見えた。 祖母の話は面白く、深い知識があり、家には珍しい物がたくさん揃えられている。 菜々子は小さな頃から、この祖母が大好きだった。 その大好きな祖母と一緒に、大きな家に住むことになったというのに、菜々子はまったく喜ぶことができなかった。 それはそうだろう。 つい二日前に、最愛の家族を亡くしたばかりの少女が、無邪気に笑うなんてできるはずがない。 それでも、祖母は努めて明るく振る舞い、何くれとなく菜々子の世話を焼いた。 そんな祖母の態度が、この時の菜々子には煩わしく思えていた。 なんでこんなときに笑えるの。 こんなに悲しいときに、なぜ笑えると思うの。 この時の菜々子は、思い至らなかった。 立派に育て上げた息子と、実の娘のように愛した嫁。彼らを亡くした祖母もまた、深く悲しんでいたことに。 それでも明るく振る舞うのは、菜々子のためを思ってのことで、それは祖母の強さであることに。 菜々子は簡単に引っ越しを終え、翌週には学校に登校した。 まだ笑うことができないまま。 ◆ 学校での友人たちの反応は、さらに菜々子の心を逆撫でした。 まるで腫れ物に触るかのような、よそよそしい態度。 かけられる言葉は気遣いや同情に満ちている。 菜々子にはそれが、ただの社交辞令のように聞こえた。 自分に対して心からの言葉でないと思ってしまった。 友達なら、もっと違う言葉をかけてくれるべきじゃないの? だから、友達に対しても、落ち込み、時には不機嫌な態度をとってしまう。 しかし、菜々子自身、どんなことを言って欲しいのか分からなかった。 しばらくそんな調子だったので、友人たちの態度もよそよそしいままで、その距離が縮まらずに、時は過ぎていった。 そしてだんだんと孤立していった。 菜々子がそれを望んでいたわけではない。 だが、もはや菜々子自身、どうすればいいのか、どうしてほしいのか、分からなくなっていた。 ◆ 「あなたにプレゼントがあるのよ」 その日、学校から帰宅した菜々子に、祖母は笑顔でそう言った。 なぜ脈絡もなくプレゼントなのかと思ったが、テーブルの上にケーキが乗っているのを見て思い出した。 すっかり忘れていた。 今日は自分の誕生日だった。 ケーキの横に、ひときわ大きな箱が置かれている。 包装紙にくるまれ、ご丁寧にリボンまでかけられている。 「開けてみて」 という祖母に、必要以上にせかされた。 どうも、そのプレゼントの中身を見るのが、祖母の方が楽しみなようだ。 戸惑いながらも、菜々子は丁寧に包みを解いてゆく。 中から現れたのは、一五cmほどの小さな少女型ロボットのセットだった。 パッケージに大きなロゴが書かれている。 武装神姫。 祖母が夢中になっている、ロボット同士を戦わせるゲームだ。 もちろん菜々子は神姫のことを知っていた。 祖母の神姫にも引き合わされたし、神姫を持っている友人もいる。 しかし、武装神姫の詳しい内容……ことバトルロンドがどんなものかまでは知らなかった。 あんな小さなお人形同士を戦わせるなんて、菜々子には想像もつかない。 パッケージの箱には「ストラーフ・リペイントバージョン」と書いてある。 箱を開け、中身を出すと、ブリスターパッケージの中央に、小さな女の子が眠っていた。 まるで、おとぎ話の小人か妖精のよう。 ペールブルーの髪が可愛らしい。 だが、周りに配置されている武装は、鋭い鈎爪であったり、無骨で巨大な脚であったり、いくつもの刃物であったりと、何とも凶悪であった。 この真ん中の女の子とのギャップはなんなのだろう? 菜々子はしきりに首を傾げた。 その疑問を頼子さんにぶつけると、彼女はにんまりと笑って、 「武装神姫はいいわよぉ」 その魅力を延々としゃべり続けた。 つまり、ゲームをやって気を紛らわせろ、ということなのだろうか。 一応、ありがとう、と言って、そのストラーフとやらを受け取った。 正直、菜々子は神姫にあまり興味がなかった。 しかし、せっかくの祖母のプレゼントなのだから、せめて起動くらいはしないと失礼だろう。 そんな気持ちで、菜々子は白い神姫を手に取った。 おそろしく華奢で、軽い身体。 菜々子は注意深く扱いながら、そっとクレイドルの上に置く。 クレイドルを接続したPC上でメンテナンスソフトが立ち上がる。 菜々子にはよく分からなかったが、勝手に神姫の状態チェックをしてくれてるようだ。 しばらくして、充電完了のチャイムが鳴る。 すると、クレイドルの上の小さな駆体が動きだし、大きな瞳がぱちりと開いた。 菜々子は思わず息を飲む。 事務的な口調で行われる初期登録。 その後、再起動した白い神姫は、菜々子を見上げ、にっこりと笑った。 「はじめまして、マスター! これからよろしくお願いしますね」 「え……ああ、よろしく……」 菜々子は大いに戸惑った。 菜々子は、神姫がこんなにも表情豊かに話すものだとは、知らなかった。 目の前の白い神姫は、とても可愛らしく笑っている。 菜々子は思う そう、この笑顔に他意はない。 目覚めたばかりのこの子は、わたしの身の上を知らないから、この笑顔はただ純粋な気持ちでわたしに向けられている。 だったら、このことの付き合いは、少しは心の慰めになるかも知れない。 そう思って、少し笑いかけようと思った……が、うまくいかなかった。 堅いままの表情で、菜々子は自分の神姫を呼んだ。 「よろしくね、ミスティ」 「はい!」 にっこり笑ったミスティを、菜々子は愛らしいと思った。 後に菜々子は思う。 これが、菜々子の運命を変える出会いであった、と。 そして、この出会いの先に、もう一つの出会いが待っていた。 次へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/busou_bm2/pages/147.html
[部分編集] 第~弾 武装神姫のフィギュア発売順にナンバリングされた公式の呼び名。一般発売された同時発売の神姫、例えば初代アーンヴァルとストラーフをまとめて第1弾と呼ぶ。フルセット第~弾、ライトアーマー第~弾と呼称される。コナスタ限定発売だったフブキや、バトマス限定版のみのアーンヴァルMk.2&ストラーフMk.2、基本的に限定発売の各リペイント版は、従ってこの第~弾にはカウントされないので注意。ちなみにこの定義に従うと、第11弾はアルトレーネのみとなる(アイネスはもともと限定販売だったため)途中で面倒になった特殊な立ち位置の神姫(リペイント版など)が増えたり、ライトアーマーとフルセットが統合されたりしてカウントがややこしくなったからか、公式にカウントされたのはフルセット第12弾の紗羅檀&ベイビーラズまでであるが、ファンの間では他に適当な呼び方も無かったせいか、カウントが継続されている…が、一般発売されたリペイント版であるアーンヴァルMk.2テンペスタ&ストラーフMk.2ラヴィーナは第~弾にカウントするかどうかについて、ファンの間でも意見が割れてしまい、結果として第17弾がMk2リペイント組になるのか、その次のビックバイパー組になるかが微妙なことになっている。 大地さん ガイアの事。ガイアが大地の女神の名だったりすることから。 ダウンロードコンテンツ PlayStation®Networkを介して配信される追加要素。略称のDLCで呼ばれることも多い。内容は神姫そのもの(素体)や武装、追加シナリオなど様々。本作では発売直後から週一ペースで・・・のはずが、バグが発覚してから長らく配信停止状態になってしまい、11月になってようやく配信が開始された。配信が順調であった場合配信後に発売のハズだったアニメ「武装神姫Moon Angel」DVD発売日の事もあり、この配信の遅れをどう取り戻すのかが注目されたが、結局、停止期間の分2ヶ月ほど後にスライドしただけで終わる様子。容量が尋常ではないため(ベイビーラズのシナリオで197MB)、全てのDLCを入れるには高容量のメモリースティックDuo(最低でも8GB、余裕を持たせたいなら16GB以上)が必要になる。 タッグマッチ 味方1人、敵2人で2対2で戦うマッチ。…なのだが、味方は何の役に立たない事が多い上に、敵は強力(ハンディ戦と違って全力でくる)なので、特に高レベル遠距離戦となると2対1で反撃する隙もなく一方的にぼこられストレスがたまる。裸ナイフと並んでみぎぃする人多し。 種子 種型ジュビジーの俗称の一つ。「たねこ」と読む。 たま子 神姫マスター大木戸甚平のマオチャオ型神姫。メインストーリーや各神姫のイベントにといろいろな出番をもち、そのたびにアクシデントに見舞われていたりするが、マオチャオ型なので一切気にしていないようである。ある神姫のイベントでは彼女の過去について少し触れられている。 ヂェリカン 神姫用添加剤「ヂェリー」を封入したボトルで、直接神姫の口から摂取することで効果を発揮する。オプション装備品に属する。ちなみにジェリカンと書くとCHOCO氏が「ヂェリカンだっていってるぢゃねーかよ」とお怒りになるので注意。 ちっぱい 体のとある部位の大きさの表現。ここで多くを語る必要はないだろう…。 千歳 本作に登場するライバル神姫マスターの一人。フルネームは小早川千歳。相方はストラーフMk.2のリリス。ある意味、前作ではメインヒロイン的立場で、それなりに出番も多かったのだが、本作での追加部分ではかなりの空気である(まぁ、設定上仕方ないといえば仕方ないんだが)。とはいえ、ストーリー上何度も対戦したあげくに、最後は〇〇に来てくれる、まさにライバル。 痴豚 バトマスを(いろんな意味で)象徴する変態マスター。その趣味に付き合うミランダ嬢の言動に、イーダはこういう神姫という印象を持った紳士は多いはず。その人気っぷりは、某所でまとめ動画まで作られたほどだという…というか公共の場では自重して他人の迷惑にならないようにするのがマナー。彼に限った話ではないが紳士淑女はゲーム中の上級紳士の真似は絶対にしないように。 ちなみに「建機型神姫」は神姫ショップで買えるからなよろしく頼むぜ! 元ネタはバトルロンドでの建機型グラップラップのリョーコが店を出る際にかけてくるセリフ。あまりにも唐突かつ(フィギュア投売りでも在庫になってたり、バトロンでも使用する人が少ない為に)悲壮感の漂うセリフだったため、ネタとして関連スレに使用されるケースが多い。 超性能 種子ことジュビジーの口癖。 ちょっとコンビニ行って来る 武装紳士がこの呪文を唱えると、今作では財布の中身がなぜか未使用プレイステーションネットワークチケット(DL神姫を購入するためのチケット)になってたりする。 ツガル スタジオルーツ製神姫、サンタ型ツガル。基本はツンデレではなく素直だが、中の人繋がりでツンデレ的な発言をすることもある。元々はbeatmania IIDXに登場したキャラクター。メーカー非公式のデザイナーによる裏設定がある。 津軽 サンタ型ツガルの俗称の一つ。ツガルをそのまま変換した際の地名からそう呼ばれる。 ツバサ君 配信アニメ「武装神姫 Moon Angel」の主人公。一見無垢な少年のようだが、神姫が欲しいという純粋かつ邪な願いを持っている。ふとした切欠でアーンヴァルMk.2型のかぐやを手に入れることから話が始まる。外見からは小学生のように見えるが、傷ついたかぐやをパテで修復したり、自作の武装をプレゼントしたりと、ただの子供とは思えない能力を持っているが、2040年代の未来の小学生はそれくらいのスキルならあるのかもしれん。すごいぞ2040年。ちなみに声の担当はイー姉の中の人である。 ディオーネコーポレーション 武装神姫世界における神姫製造メーカーのひとつ。アルトレーネとアルトアイネスの素体部分のメーカー。武装部分はアームズインポケット社が手掛けるという共同開発の形となっている。 ですわ 標準イーダ型の語尾。すべての会話につける事で、あたかもイーダ様が発言なされた様に見える不思議。余談だが語尾に無理やり「…ですわ」とつけるイーダ型がバトロンにいたりする。 ですわですわ イーダの俗称の一つ。語尾の「ですわ」の印象が強いためにそういわれだした。 天使型あーんばるがいいと思うわ/あーんばるがいいと思うの かつて公式サイトで配信された「武装神姫RADIO RONDO」内での天使型あーんばるの中の人である阿澄佳奈先生による名(迷)台詞。(第14回の24分48秒辺り)時折ネタとして使用されることがあり、「あすみん先生、自重してください」と返すのがお約束。「わかりました!じゃーあ、ハウリンをかいます!」(by喜多村ハウリン犬子) テンペ 天使型アーンヴァルMk.2テンペスタの略称。テンペスタ(tempesta)は「嵐」ではなく、「大嵐」を意味するイタリア語。(英語ではテンペスト tempest)よく混同されがちだが、「嵐」は英語ではストーム(storm)である。(ちなみに嵐はイタリア語ではテンポラーレ temporale)立場的にはアーンヴァルMk.2のリペイントにあたる。DLC(アニメ「武装神姫Moon Angel」)の各号に付属特典として武装が登場している。 てんぺったん 天使型アーンヴァルMk.2テンペスタの俗称の一つ。別にぺったんなわけではなく、元がアーンヴァルMk.2なのでそこそこある。あれ、こんな夜更けに誰か来たのかな…。 闘神の玉座Mk2 称号の一つ。ゲームセンターと裏バトルとクリア後のF0大会に登場する全てのマスターに勝利することで手に入る、やりこみの到達点のひとつ。この称号の場合、同じ名前のライバル神姫でも装備が違うと別キャラと見なされる。つまりこのゲームで発生する全てのバトルをプレイしなければならない。当然取得には相当な時間を費やす。取得するとジャスティス型専用超強力レールアクションを入手できるが、果たして使って更に楽しもうという気力が残っているかどうか・・取得の為に本編クリア後のF0大会を何度もマラソンすることになるが、誰と戦ってないかが解らなくなると悲惨な事になるので、面倒でもライバルリストを自作し、戦った相手をチェックしながらプレイすることを強く推奨しておく。 トライク 三輪が車両の中心線を対照として三角形の形に配されたオートバイの総称。前輪もしくは後輪が二輪となる。日本で運転する際は普通免許が必要(二輪免許では運転不可)アーク イーダが高機動時(本作では専用RA発動時)にトライクモードに変形する。どちらも武装のみをトライクに変形させることが可能である。 ちなみにタイヤが三つだから「トライ」クと言う。バイクはタイヤが二つだから「バイ」ク(自転車も「バイ」シクル)。 トライファントム ストーリー終盤に登場する三人組。意味深な台詞を言う割に結局彼らの目的が何だったのか良くわからないまま話は終わってしまう。終盤でのステベロスの台詞をそのまま受け取ると、文字通りプレイヤーの経験値になるために出てきたそうなので、ラスボス戦も控えているしありがたく経験値になってもらおう。最初に出てくる禿スキンヘッドのアルゲス、紅一点のプロンテス、スケベイスとか名前を間違えられる津軽大好きなステベロスの三人で構成される。が、名前の割に前作の四凶に比べ影が薄い。ところでトライファントムなんて厨二病的な名前をつけたのは誰なんだろうか……やっぱりラスボスのあいt(うぅぅぅぅきゃぁぁ!)なお対戦時には「アルゲス神姫」のように愛着もくそも無い名前だが、ライバルデータで見ると神姫達に名前がしっかりついていたりする。 鳥子 セイレーン型エウクランテの俗称の一つ。 鳥P 武装神姫コンテンツの鳥山プロデューサーの事。武装神姫の責任者なのだがあちら側に行ってるかもしれない人。公式のアーカイブによると試作段階の神姫をよくみぎぃしてしまう危険人物らしい。作中ではバードマウンテンの名でレプリカ神姫に関わっている。 ドリル 穴をあける道具。なぜかフィクション等で武器として使用される。パイルバンカーと並ぶ漢の浪漫兵器。神姫の場合もそうだが、実は正確な円錐形のドリルというものは実際には存在しない。似たような形状の物としては、アクリルなどの脆くてやわらかい素材に使用される鋭角状のドリルや、薄板に使用される段付きドリルやステップドリル、ドリルではないが穴を広げるためのリーマ、といったところか。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2781.html
与太話13 : あぶないマシロ刑事 注意! TVアニメ武装神姫、第八話のネタバレを盛大に含みます。 もう一度言いますが、 TVアニメ武装神姫、第八話のネタバレを盛大に含みます。 カウントダウンTVをご覧の皆さん こんばんは、エルです。 アニメからの情報ですがどうやら最近、神姫のアップデートと偽ったウィルスが蔓延しているそうです。 侵食された神姫は強制的にスリープモードにされ、AIを侵食されるとのこと。 MMSメーカー各社からも注意喚起のメールが届いています。 最悪の場合、二度と目を覚ますことなくマスターとお別れをしないといけないなんて、まったく恐ろしい限りです。 ですが、少なくとも私のまわりの神姫たちはこのようなウィルスには引っかかりません。 怪しげなアップデートはしない、という情報リテラシーがばっちり浸透しています。 それというのも、過去に同じ手口で罪を犯した神姫が身近にいるのです。 ◆――――◆ 「過去と同様の手口を使う度胸だけは褒めてやろう。では死ね」 身柄を拘束されて口をテープで閉じられたカグラは何度も首を振って、マシロ姉さんに必死に命乞いをしている。 両眼から溢れ出る涙の滝を貫こうとするランスがかろうじて留まっているのは、私たちが必死になってマシロ姉さんを止めているからだ。 「落ち着いてマシロ姉! まだカグラが犯人って決まったわけじゃないんだから! 冤罪だったらどうするのさ!」と叫びながらマシロ姉さんの右腕にしがみついているメルに対して、マシロ姉さんはまったく悪びれる様子もなく言った。 「その時は前科のある神姫が一体消えるだけのこと。竹櫛家へ害をもたらす可能性を僅かでも摘むことができればそれでいい」 「よくねーよ! 竹櫛家の中でオマエが一番危ないっつーの!」 メル同様、コタマ姉さんまでもマシロ姉さんの腰にしがみついている。 ちなみに私は後ろから尻尾を引っ張っていて、両足をアマティ姉さんとほむほむ姉さん「俺の名はホムラだ」が止めている。 ハナコ姉さんは怯えながらも必死にカグラを庇おうとしている。 これだけの人数でやっと制止できるのだから、『ナイツ・オブ・ラウンド』の名は伊達じゃない。 「お願いですから待ってくださいマシロ姉さん! せめてまず取り調べを! ほ、ほら、昼ドラの刑事さんが犯人に牛丼とか食べさせたりしてるじゃないですか」 ほむほむ姉さんが「牛丼? 普通はカツ丼だろう」とつっこむのを聞いたのか聞かなかったのかはともかく、「昼ドラ」という言葉にピクリと反応したマシロ姉さんは唐突に力を抜いた。 そのおかげで全力を振り絞っていた皆がつんのめって転んでしまった。 「なるほど、取り調べですか――ええ、そうですね、その通りです。私としたことが重要な手順を忘れていました」 急に機嫌を良くしたマシロ姉さんはランスを収め、ひたすら泣くことと首を振ることしかできないカグラの口からテープを剥がした。 「ブハッ」と息を吐き出した後も、カグラの呼吸はフルマラソン完走後のように荒れていた。 マシロ姉さんを取り押さえていた皆とカグラを庇っていたハナコ姉さんが固唾を飲んで見守る中、取り調べが始まった。 「正直に答えろ。貴様がアップデートに見せかけたウィルスをネットにばら撒いたのだろう?」 「ち、違うにゃ! ワガ、ワガハイ、そんなことしてないにゃ! 考えてもみるにゃ、前にワガハイがやった時は誰にも気付かれずに神姫たちのAIをいじるのに成功してるにゃ! アニメみたいにすぐ注意喚起が出たり対策されたりするようにゃ下手な手口は――」 「犯人は必ず嘘をつく。嘘つきは泥棒の始まり、という言葉を知っているな。だから犯罪者は未然に消しておかねばならない。では死ね」 取り調べが終わった。 私を含むみんな予想していたのか、マシロ姉さんが動き出すのと同時に元の格好に戻った。 「マシロ、オマエ昼ドラでなに勉強してたんだよ! オマエが見てるドラマじゃ取調室で銃弾が飛ぶのかよ!」 「コタマ、これは妹君を含む竹櫛家のためなのです。恐れ多くも私たちは神姫でありながら竹櫛家の家族として迎えられています。私はその恩義に報いるために平穏を守ろうとしているまでのこと。あなたも守護の対象になっているのですよコタマ。あなたがいなくなることで妹君を悲しませたくはないでしょう」 「オマエが起こす事件のほうが鉄子ちゃんにとって迷惑に決まってんだろうが! 身内から神姫殺しが出るとか嫌すぎるわボケ!」 「フッ、そのようなことは想定済みです。家を出る前に兄様のオーナー登録抹消を済ませましたから、今の私はただの野良神姫です」 こんなことを平然とやってのけるのがマシロ姉さんだ。 身内のためならば自分を含む他のすべてをゴミ同然に扱う。 私は時々、マシロ姉さんと友達になれてよかったと心の底から思う。 もし赤の他人だったら、白銀のランスがいつ私に向けられるか分かったものじゃないから。 コタマ姉さんは「またやりやがったよコイツ」と呆れ顔だ。 「オマエそれで何回鉄子ちゃんと隆仁に迷惑かけたよ、ええ? あのなぁ……ああクソッ、こっ恥ずかしいこと言わせやがって……オマエだって家族の一人なんだろ! アタシの許可なく勝手に家出してんじゃねーよクソが!」 今のセリフ、鉄子さんに聞かせてあげたい。 あのコタマ姉さんがこんなに感動的なことを言うなんて。 マシロ姉さんにとっても意外だったのか、再び力を緩めてくれた。 そのおかげで再びつんのめって転ぶ私たち。 カグラはもう放心状態だ。 「ふむ……………………まぁ、いいでしょう。今日のところはコタマに免じて引くとします。そこの猫、次に何かあった時は命がないと思え」 すごい勢いでカグラが頷くと、マシロ姉さんはプイと回れ右して帰っていった。 エメラルド色の豊かな髪をなびかせたクーフランの後ろ姿に、私たちは呆れや苛立ちや殺意なんかを込めた視線を送った。 「あの性格、どうにかならないんですかコタマ姉さん。よく一緒の家で生活できますね」 「自分でも不思議に思うぜ。アタシがレラカムイとして起動した時から性格全然変わってないし」 「ワ……ワガハイはもういいにゃ? 解放されたのにゃ?」 今回ばかりは可哀想なカグラを慰めようとした、その時。 「クソねこぉぉぉおおおおおおおお!!」 髪の長い飛鳥型神姫が突然、空から降ってきてカグラの前に着地した。 「ヒィィッ!?」と後ずさるカグラに詰め寄った飛鳥、最近よく名前を聞くようになった『セイブドマイスター』はカグラの状態なんてお構いなしにまくし立てた。 「あんたAIパッチとか作れるのよね!? 今すぐあのアニメのやつ作りなさい、人間とデートできるやつよ! 作れるんでしょう!? この際ウィルスでも何でもいいわ、ノーとは言わせないわよ!」 カグラの厄日はまだ続きそうだった。 ハムスターは? ねぇハムスターはなんで出ないの? ハムスター見れないと寂しいよ? 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2104.html
ウサギのナミダ ACT 1-2 ■ 休みの日、マスターは朝早く起き、天気が良ければ近くの公園まで散歩に連れていってくれる。 わたしはこの朝の散歩が大好きだ。 ぴんとはりつめたように澄んだ空気、ひんやりと頬をなでる風、そして蒼く遠い空。 世界はこんなにも広く、きれいなのだと実感できるから。 そして、いつもは厳しい表情のマスターも、このときは少し優しい表情で一緒にいてくれるから。 わたしは、マスターの上着の胸ポケットから顔を出し、朝の世界を眩しく見つめた。 マスターの住まいから歩いて五分ほどで、目的の公園に到着する。 マスターによれば、この界隈では一番広いのだそうだ。 公園内は遊歩道が整備されており、昼間は散歩する人や、走り回る子供たち、のんびりと歩むご老人のみなさんなどがやってくる憩いの場だという。 わたしもジョギングをする人を見たことがある。 でも、日曜日の早朝は、たいてい誰もいない。 今日も人影はなく、わたしたちだけが公園内へと入っていく。 わたしは、マスターを見上げ、 「マスター」 声をかけた。 マスターがわたしを見つめる。 この人の視線はいつも厳しく感じられるけれど、いつもまっすぐだ。 わたしは小首を傾げるようにして、おそるおそるマスターを見た。 するとマスターは口元だけかすかに笑ってくれた。 「よし、行け」 マスターの許可が出た。 わたしは思わず笑顔になり、マスターの胸ポケットから飛び出した。 わたしの身長の何倍もの高さから、空中に躍り出る。 こわがらず、そのまま着地。 膝のクッションを効かせて、着地の衝撃を吸収する。 衝撃を完全に吸収してくれたのは、わたしに両脚に装着されたレッグパーツ。 マスターが作ってくれた、わたしのオリジナル武装だ。 わたしは、身体が沈み込んだ反動を利用して、前方に飛び出す。 レッグパーツのホイールが甲高い唸りを上げる。 わたしは腕を振ってバランスを取る。 一気に加速し、疾走を開始する。 風になる。 ここからはわたしの大好きな時間。 遊歩道を走る、疾る。 思うさま疾駆する。 ものすごい勢いで流れていく公園の木々。 風に溶けていくような感覚。 なんともいえない解放感がわたしを包む。 それは何度感じても、嬉しくて気持ちのいいものだった。 公園を囲む遊歩道の二つ目の角が見えた。 わたしはそこで体を起こし、スピードを落としながら一八○度ターンをする。 簡単なトリックだけど、きれいに決まったのが嬉しい。 わたしはまた前傾姿勢で走り出す。 わたしの大好きな時間の最後には、マスターが待っていた。 左の肘を水平に突き出して立っている。 瞳はわたしに不敵な視線を送っている。 これは課題だ。 神姫のわたしにマスターが出題するパズル。 わたしは、あのマスターの左肘に着地しなくてはならない。 先週は、マスターがベンチに座っていたから、難易度が上がっている。 わたしはスピードを落とさずにマスターへと駆け寄る。 そして走りながら、マスターの肘へと至るルートを見定める。 最後の数メートルを滑走し、タイミングを計ってジャンプ! わたしは、マスターの肘の先にあった公園の植木に飛びつくと、木の幹にホイールを走らせて、巻き付くように登り出す。 一気にマスターの肘の上まで登ると、そこでまたジャンプ。 着地点を見定めながら、一回転一回捻り。 回転を終えた瞬間、わたしはすとん、とマスターの肘の上にお尻から着地して座った。 「よし、上出来だ」 わたしのトリックプレイに、マスターは素っ気ない口調で、そう言った。 わたしは、さっきよりも和らいだマスターの表情を見つけて、やっぱり嬉しくなった。 にこりと笑顔をマスターに贈り、わたしは再びマスターの胸ポケットに滑り込んだ。 わたしの大好きな時間はこれでおわり。 でも、マスターの住まいに帰るまでの間、嬉しさでいっぱいになったわたしの胸はずっと高鳴っていた。 □ 散歩が終わり、朝食を食べて一休みしたら、俺は最寄りの駅前にあるゲーセンにティアを連れて向かった。 ティアをバトルにデビューさせて二ヶ月が経つ。 週末はずっとこんな感じで、散歩のあとでゲームセンターに足を運んでいる。 武装神姫のバトルは、公式の神姫センターや神姫を扱っているホビーショップなどでも楽しむことができるが、俺はもっぱら近場のゲーセンだった。 足を運びやすいのが一番の理由である。 もう一つはティアの武装だ。 ティアのレッグパーツは、俺が部品を集めたり作ったりして組み上げたオリジナルだ。 公式武装がメインの神姫センターは出入りしにくい。 雑多な神姫達が集まるゲームセンターの方が都合がいいのだ。 まだ昼前の時間帯で、ゲームセンターの武装神姫用筐体の周りもあまり賑わっていない。 その方が都合がいい。 むしろそれを狙って、少し早い時間帯に来ているのだ。 俺は対戦用の筐体に座ると、ティアをポッドに収め、サイドボードに武装を並べる。 ここでのバトルは、基本的にコンピューターを介したバーチャルバトルである。 俺はステージを「廃墟」に固定し、一人用のミッションモードを開始する。 コンピューターの出す課題を次々にクリアしていくこのモードは、一人でもバトルができるが、訓練に過ぎない。 俺はティアに細かく指示を出しながら、黙々とミッションを消化した。 つまりはこうして対戦者を待っているのだ。 対戦者待ちをするのには理由がある。 ティアの戦闘スタイルの特性上、市街戦しか有効に戦えないのだ。 つまり、ステージを固定するために、乱入者を待っている。 ……そう思っている間に、早速乱入者がやってきた。 三戦ほどやって、負けたところで席を立つ。 今日はいずれも地上戦メインの神姫とのバトルだった。 よく手合わせをする、顔見知りの常連さん達だ。 負けを喫したのは、バッフェバニー・タイプ。 あの神姫はティアよりも火力がある上に、機動性能もいい。ミリタリーファンに好まれる神姫だけに、市街戦での戦術は見事だった。 俺は神姫バトルを映し出す大型モニターを眺めながら、缶コーヒーを開けた。 「ティア。今のバトル、何が問題だった?」 俺は胸ポケットから顔を出すティアに尋ねる。 負けた後は、必ずこうしてバトルの検討をする。 俺たちは決して強いわけではない。 オリジナルのバトルスタイルを確立するため、細かく検討する必要があるのだ。 「えと……相手がビルにうまく隠れて、なかなか攻撃できませんでした」 「そうだな。市街戦の腕前も相手の方が上手だった。位置取りがうまかった」 「あ、あと、相手の攻撃にさらされることが多かったと思います」 「……こっちの行動パターンが研究されているかな」 「かもしれません……前に戦ったときとは違うタイミングや方向から攻撃を受けたような……」 バッフェバニーは銃火器による攻撃がメインだから、ティアは狙いをはずすような機動を心がけて戦うことになる。 ビルの壁や屋根も縦横無尽に駆け回るティアを、幾度と無く捕捉できるというのは、やはり行動パターンが読まれているのか……。 「いよう、遠野! 調子はどうだ!?」 人の思考を大声でぶちこわして現れたのは、革ジャンを着た派手な男だった。 「……大城、もう少し声を抑えてくれ。それでも聞こえるから」 「おお、うるさかったか? そりゃすまん、わっはっは」 なおのことうるさくしゃべるこの男は、大城大介。 以前バトルしたティグリース・タイプのオーナーだ。 おそらくは今も外に駐車してあるだろう、ごっついバイクを乗り回し、神姫にもエアバイク型のメカに乗せている。 シルバーのアクセサリーをこれでもかと身につけ、派手な柄のシャツに革ジャンという出で立ちは、どこからどう見てもヤンキーである。 バトルの後、難癖付けてきた大城を言い負かしたのだが、なぜか次に会ったときにはやたら気さくに声をかけてきた。 それ以来、俺の姿を見つけては声をかけてくるようになった。 俺たちのどこが気に入ったのだろうか。 それは目下、俺にとって最大の謎であった。 「……そっちは、来たばかりか?」 「おう。虎実のマシンの整備に手間取ってなぁ」 大城の肩を見ると、そこに彼の神姫・虎実が座って、こちらを睨みつけていた。 「……よお、虎実」 声をかけると、ぷい、とそっぽを向いた。 俺は小さく肩をすくめる。 虎実はいつもこんな調子だった。オーナーの大城の態度とは正反対だ。 「悪いな。こいつもほんとは照れてるだけなんだ」 「ばっ……! 照れてなんかいねぇ! 慣れ合うのがイヤなんだよっ!」 ムキになって否定するが、大城はせせら笑っている。 大城がからかい、虎実はさらにムキになる。 この漫才は、とうとう頭に来た虎実がクローを装備し、大城の顔をひっかくまで続くのだ。 ゲームセンターに通うようになって、俺の生活も変わった。 こうして神姫のオーナーたちと一緒に過ごす時間は、いままでの俺の生活にはなかった。 武装神姫を始めなければ、大城などとは一生会うことも話をすることもなかったかもしれない。 そう思うと、神姫はただバトルをするだけの存在ではなく、オーナーたちの枠を広げ、知らない世界を見せてくれる存在なのだと実感する。 「おっ?」 虎実にひっかかれ、顔中をミミズ腫れにした大城が、ゲーセンの入り口に注目した。 「遠野、あそこ見ろよ」 そこには一人の少女がいた。 大城は女の子に目がないので、妙にめざといのはいつものことだ。 だが、大城が注目するのも無理ないと思わせるほど、その少女は美人だった。 ショートカットにした髪と細いジーパンという装いのせいか、活発そうな印象だ。 手には、神姫収納用のアタッシュケースを下げている。 彼女はきょろきょろと店内を見回している。 「神姫のオーナーか……?」 俺が呟く。 すると、その声が聞こえたかのように、少女はこちらを見た。 視線が合う。 すると、少女はまっすぐこちらへやってきた。 隣で大城がなにやら喜んでいるような気配がするが、あえて無視した。 「こんにちは」 とても気さくな挨拶が、微笑みとともにすっと入り込んできた。 「こんにちは!」 「誰かお探しですか」 大城の挨拶が終わるのを待たずに、俺は本題を切りだした。 すると、彼女はちょっと驚いた顔になったが、すぐに落ち着いて、こう言った。 「ええ。……ハイスピードバニーのティアっていうオリジナルの神姫をご存じですか? このゲーセンがホームグランドだって聞いたんですけど」 俺と大城は顔を見合わせた。 「ハイスピードバニー?」 「はい。なんでも地上戦専用の高機動タイプで、バニーガールの姿をしているとか。とても 特徴的な戦い方をすると噂に聞いています」 「……それで名前がティアなら、俺の神姫かもしれないけれど……」 「ほんとですか!?」 このショートカットの美少女は声を上げて、にっこりと笑った。 ほとんど反則な笑顔だ。 「よかったぁ。会えないと大変なんですよ。何度も通わなくちゃいけないし」 「しかし、ハイスピードバニー?」 彼女が口にした呼び名だ。 そんなベタな名乗りを上げたことはないはずだが……。 「この近辺では有名ですよ。みんなハイスピードバニーという二つ名で呼んでますね」 俺は苦い顔をした。 あまり目立たないように戦ってきたつもりだったが、やはり特徴的な戦闘スタイルが目に付くのか。 しかも、二つ名まであるのか。 そんな心配と同じくらい、ひねりのないネーミングに不愉快になる。 「それで、君はわざわざ、ティアと戦いに来たというわけ?」 「はい。遠征して、いろいろなタイプの神姫と戦うのが好きなんです」 この少女は、迷い無くはきはきと答える。 年の頃は、俺と同じか少し下くらいだろうか。 武装神姫のプレイヤーにはとても見えない。 テニスか何かをやっていると言われた方がよほど現実味があった。 「バトルしてもらえませんか? 私の神姫と」 「君の神姫は……」 「ここよ、ここ」 小さな声がしたのは、彼女の肩あたり。 いつのまにか、一体の神姫が、少女の右肩に座っていた。 特徴的な巻き髪を揺らしながら、にこにこと笑っている。 「イーダ・タイプか……」 イーダ・タイプは高機動タイプのトライク型だ。 地上戦専門の神姫だし、確かにティアとは噛み合うだろう。 だが、本体がイーダ・タイプだからと言って、武装までそうだとは限らない。 「ミスティよ。よろしくね」 神姫は自らそう名乗った。 それを聞いた大城がいきなり叫びだした。 「イーダのミスティと言えば! もしかして、エトランゼ!?」 「……まあ、そんな呼ばれ方もしてますね」 「エトランゼ?」 俺は大城の方を向いて尋ねた。 すると、大城は大きなため息をついて、俺を見る。 「遠野、おまえは俺よりも神姫に詳しいくせに、なんで他のプレイヤーや噂には疎いんだ……」 失敬な。雑誌に出るようなプレイヤーたちなら俺だってチェックしてる。 大城はまたひとつため息をつきながら、俺に解説してくれた。 「『異邦人(エトランゼ)』のミスティと言えば、この沿線あたりじゃ有名な神姫だぜ。 噂になっているような強い神姫を相手にするために、あちこちのゲーセンやホビーショップの対戦台に現れる凄腕の神姫プレイヤー。 腕前もかなりのものらしい。それなりの腕の神姫をあっさり負かしたりするそうだ。 で、その神姫のマスターは、結構な美少女って噂だけど……」 大城はちらりとミスティのマスターを見た。 「噂通りってとこだなぁ」 彼女は困ったように笑っている。 「それで、あなたの神姫は? 今日は連れてきてないですか?」 「いや……ティア」 俺がそっと促すと、胸ポケットから、ティアがおずおずと顔をのぞかせた。 「わぁ、かわいい!」 少女は身を屈めて、俺の胸ポケットをのぞき込む。 ティアは恥ずかしいのか、半分顔をポケットの縁で隠しながら挨拶した。 「こ……こんにちは……」 「こんにちは」 返事を受けて、ティアはますます顔を隠してしまった。 「ティアは照れ屋さんなのかな?」 「ああ、ちょっと人見知りでね」 「噂通り、うさ耳なんですね。かわいいなぁ」 少女は無邪気に笑う。 なんだか、この笑顔に調子を狂わされっぱなしだ。 「それで、どうですか?」 「え?」 「私のミスティとバトルです」 「ああ……」 無邪気な笑顔とバトルという言葉に違和感を感じて、俺は少し戸惑う。 だが、断る理由がない。名の知れた、しかも地上型とのバトルなら歓迎だ。 「ティア、どうだ? やれるか?」 「マスターが……戦いたいというのなら」 俺は頷くと、少女に向き直った。 「フィールドは、廃墟か市街地。それでもいいかな?」 「望むところです」 そう言って、少女はにっこりと笑い、空いている筐体に歩み寄った。 俺も筐体の反対側へと移動する。 まばらだったギャラリーが、少しずつ俺たちの座る筐体の前に集まりだした。 まだ始まってもいないバトルにギャラリーがつく。 彼女の知名度と、俺たちの注目度は、俺が思っている以上のものであるらしい。 筐体のサイドボードに武装を並べ、バトルの準備をしていると、脇に大城がやってきた。 「なんだ、大城? 彼女の側で見てなくていいのか」 「おまえの次に、俺が対戦申し込むんだよ。おまえの戦略、しっかり見せてもらうからな」 すごみのある笑い。 なるほど、俺から戦略を盗もうという寸法か。 「だったら、一つ教えてくれ」 「おう、なんだ?」 「ミスティは地上型か、それとも違うタイプか。知っているか?」 「噂じゃ、普通のイーダだって話だな。 バトルを見た訳じゃないから、本当のところはわからんが、イーダのくせに、飛行型の神姫もあっさり倒すんだそうだ」 「本当か?」 「まあ、噂だがな」 大城は肩をすくめた。 その噂が本当だとしたら、ミスティは相当な実力の持ち主だ。 地上型の神姫が、飛行型の神姫から勝利を奪うのは難しい。自分より上にいるというだけで有利なのだ。 それをあっさり覆すということは、何か特別な力がある可能性が高い。 それが装備なのか、戦術なのか、策略なのかはわからないが…… 用心に越したことはない。 俺はそう判断する。 筐体の向こうを見てみれば、ミスティのマスターと目があった。 不敵な微笑み。 バトルに向かうにふさわしい表情になった。 なるほど、彼女も確かに神姫プレイヤーなのだ。 それでは始めよう。 俺はティアをアクセスポッドに送り込み、スタートボタンを押した。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/101.html
第2話「戦闘終了、元の鞘へ」 「ブラボー、なんだ今日の様は?」 今日の試合は何とか勝てたが、危なかった そしてその原因の殆どは、今日復帰したばかりのブラボーのミスだ 「メーカーで初期化されたってのは本当だったようだな。しかし、初期化されても武装神姫だろう? もっとマシな動きは出来なかったのか?」 わざとねちっこく嫌味を言ってやる。 「だ、だってボクは!」 「口答えすんじゃねぇ!」 ビシッ! 指二本でデコピンしてやる。身体の軽い神姫にはかなりの衝撃で、吹っ飛ばされて転がる。それでもブラボーは立ち上がり、 「な、なによ! ご主人様に言いつけてやる!」 などと叫びやがった。なんだその舐めた口のききかたは! 「何言ってやがる! テメーの主人は俺だろ! まだ殴られたいのか!」 「車にぶつかったのと比べればなんでもないもん!」 車にぶつかった? 何の話だ? 「てめー、本格的に狂っているのか?」 「違うもん! ここには間違って送られてきたんだ! ご主人様のところに帰らせてよ!」 なんだって? まじか? まさか、誤発送? つーか、じゃあブラボーは? 思考が混乱を極める、そんな時、電話が鳴った 「よかった、無事で…。もう大丈夫。もう怖い目にはあわせないから…」 なんて、迷子の子供を見つけた親みたいに話しかけている 俺みたいな武闘派ユーザーとは究極的にソリが会わない、溺愛系ユーザーのようだ メーカーからの電話で、誤発送がマジだったと解り、しかも家が割りと近いとのことで、直接会って交換することになったのだ こちらもブラボーがきちんと戻ってきて、やれやれといったところだ 再会の儀式がひと段落したらしく、なにやらひそひそ囁きあっている あ、何かこっちに来た 「あー、なんというか、1発殴らせてもらってもいいかな?」 「え?」 「入れ替わっていたことに気付かなかったとはいえ、うちの神姫を危ない目にあわせただけでなく、手まで上げたそうじゃないか。その落とし前をつけさせてもらおう」 指をボキボキ鳴らしながら迫ってくる。彼の肩の上ではブラボー、もとい黒子がこっちにむかってあっかんべーをしている。 ああ、なんてこった。これだから溺愛系ユーザーは嫌いだ。しかも落ち度は俺にある… バギッ! SSS氏のコラボ作品はこちら 続く
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/6805.html
今日 - 合計 - ミッキーマウスIV 魔法のラビリンスの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時21分24秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/240.html
神姫(?)設定 『マオ』 開発コード・Maxwell-X01 世界に普及した身長15cmの玩具、武装神姫になりすます事でターゲットに接近し、 暗殺を行なう為に開発された『人殺しの道具』。 しかし創生主・柏木一の組織への反旗により、施設内の全ての人間を殺害し逃亡。 柏木一の意思により柏木浩之の元で暮らす事に。 実は射撃が苦手。 立ち止まっている状態からなら重火器でも精密なワンホールショットをしてみせるが、 自分が動いていると全然当てられない。 反動制御などは神レベルなのだが、戦闘の基本たる移動射撃ができないのだ。 本来の運用では自分よりも遥かに大きい人間が標的で、 しかも加速時間からの射撃なので動きながら撃つ事が全く考慮されていない。 ボディは市販品をチューニングしたもので、特に変わった点は無い。 問題はコア(頭部)で、いくつかの常識を逸脱したテクノロジーが搭載されている。 1.加速時間ドライブ 本編参照。 2.真空機関 永久機関。 真なる空(虚無とか虚空と言った方が適切なのだが)から 無限のエネルギーを取り出す装置。 2006年の時点で『理論だけでも存在している』唯一の永久機関である。(本当) 物理学では『何も無い状態』は本当に何もないのではなく、 プラスとマイナスの存在が均衡して『どちらも存在していないように見えるだけ』と 言われている。 宇宙の創生はこの”真なる空”の状態から波の様にプラスとマイナスへの揺らぎが生じ、 物質や熱が生まれて宇宙が誕生したとされているのだが、 同じ現象を箱庭で再現しようとしたのが真空機関だ。 マオに搭載された真空機関は出力方式を電力に限定されている。 理屈の上では機関の大きさに関係なく膨大な電圧を出力できるのだが、 接続できる配線の太さがボルトネックになり低出力に抑えられている。 もうひとつの機能がコアの冷却だ。 無限に『もってこれる』のと同様に、無限に『もっていく』こともできる。 これを利用し、高性能ゆえに膨大な熱を吐き出す 結晶コンピューターの冷却を行なっている。 3.結晶コンピューター マオの思考・記憶をつかさどる珪素脳。 熱伝導率の非常に高い単一の固体で構成されており、 それ自体がヒートレーンの役目も果たす。 思考速度はそれなりだが、とにかく記憶容量が異常に多い。 欠点は発熱の多さで、ヒートシンク程度では到底間に合わず融解してしまう。 小型の筐体に収めるには無限に熱を食わせられる真空機関との併用が不可欠。 4.分子結合バッテリー 六角形の分子結合を持つ物質。 従来型が六角形の中に1つの電子を捉えることしか出来なかったのに対し、 1つの分子で6個の電子を捕らえられるように改良された。 安定性が高く(どこかのバッテリー見たく燃えたりしないよ?)、非常に軽く、 体積に対し大容量なのだが、製造が難しく恐ろしく高価。 恐ろしいのが、これらが「所詮は人の作りし物」だという事。 今の所同等な存在は出てきていないが…真空機関を研究している(いた)のは 柏木一だけではないし、加速時間ドライブにしても 機密が漏れていなかったという保障はどこにもない。 一度作られた物なのだ。 他の人間に作れないと何故言い切れようか? それだけではない。 もしマオが人類に反旗を翻したら? 彼女の珪素脳には研究所にあった全てのデータが記録されている。 もちろん自分自身の製造方法も、だ。 加速時間ドライブを併用した絶対的なハッキング能力、人を簡単に殺せる力、 自分の姉妹やパーツを作る技術。 真空機関の出力が限定的なのは配線の都合だけで、 暴走させれば小国を地形ごと消し飛ばす程の破壊力をもった兵器にもなる。 今は柏木浩之を慕う故に人類に敵対する事はないが、 ある意味人間と同じ「感情を持った」存在だ。 いつ何処で気持ちが変わってしまうのか。 人類を滅ぼして地球を神姫の星に変えてしまうのか。 当のマオ本人ですら、人類に友好的であり続ける保障は出来ないのだ。 『小姫(こひめ)』 天使型を祖とするカスタム神姫。 巫女装束に誘導特性を持った投擲武器の護符(突刺+スタン効果)・ 射撃武器の長弓と趣味に走りまくった装備。 袴の中の脚部はエアバイザーの翼を加工した物に交換されており、、 本体の浮遊、護符・弓矢の加速、反発フィールドによる防御を可能にしている。 浮遊だけに専念すれば高度を2m前後で維持できるが、 反発フィールドも展開するとせいぜい数cmが限界。 フィールドを前面に集中配置して繰り出される『破魔矢』は非常に強力で、 亜高速レールガンにも匹敵する破壊力を発揮しつつも曲線射撃を可能にする。 しかし1発ごとにフィールドの再配置が必要な事、 発射の前後は防御性能が皆無になるなど、いつでも使える武器ではない。 対マオ戦では使っていなかったが、反発フィールド内に微粒子を散布する事で ビームやレーザーにも高い防御力を発揮する。 マオに敗退した後に、近戦防御用の5連装ショットガンユニットを両肩に装備した。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/99.html
人物設定 金矢利道 SOS技術研究所に勤める研究員 二人の神姫をこよなく愛している マッドサイエンティスト気質で、バトルに参加したいとマリンが言ったとたん武装を即座に用意するなど、行動力溢れる人 ただし、基本的に意地のいい人ではない アニタ(ストラーフ型) 明るく活発。マスターにちょっとしたイタズラやわがままを言い、それを許してもらえるのがうれしくて仕方が無い子。 要求のレベルは非常に低く、確実に実現できるものをチョイスしている 自分のわがままや生意気さを自覚していて、それを許してもらうことに愛を感じている 裏闘技場での経験がトラウマになっており、最近夜中うなされている マリン(アーンヴァル型) 生真面目で大人しい。マリンのお姉さん的存在。口数が少なく、何を考えているか分かりづらいが、たいしたことは考えていない 自分の要求を口に出せないが、マスターがアニタにしてあげたことをすぐに自分にもしてくれることに幸福感を持っている その性格が災いして、利道にいじられている 武装設定 標準装備 タクティカル・エッジ 大型ナイフ 知り合いの研ぎ師に無理矢理作らせたもので、このサイズとしては異様な切れ味を持つ 2mm厚の装甲板を貫通可能 ターミネーター・マチェット 大型実体剣 小さいが、日本刀と同じ手法で作られており、すさまじい威力を持つ 直径5mmの鉄棒をたやすく両断する マリン専用バトルコスチューム 人工筋肉製の強化外骨格の上に、防弾防刃耐熱繊維で作られたメイド服を着込んだもの どちらの素材も、SOS技術研究所で開発された最新鋭の技術を持って作られている メイド服のスカートの中に多種多様な武器を隠しており、まさに「メイドさんのスカートのなかは宇宙と繋がってる」といった感じ ポケットと内部がつながっており、そこから武器を出す ちなみに、人工筋肉製外骨格の形状の都合上、通常の神姫より肉感的なスタイルとなっている 更なる秘密機能が隠されているとのうわさも… マリン専用武装(一部) リボルバー(S W M10型)×2 オートでなくリボルバーなのはただの趣味 クイック・ローダーではなく、手で装填する ちなみにこれとナイフだけはエプロンのポケットの中に納められている ショットガン(SPAS-12型)×2 これまた趣味で選んだショットガン メイド服とショットガンほど似合う組み合わせは無いとのことで、主力武器としている サブマシンガン(UZI9mmSMG型)×2 趣味で選んだサブマシンガン ちなみに、神姫用弾薬の規格は(基本的に)統一されているのでリボルバーと同じ弾が使える 無反動砲(パンツァーファウスト型)×4 スカートの中に納めるために、小型化されたパンツァーファウスト SOS技術研究所のオリジナル作品 小型化の影響で威力射程は劣化しているが、その分数を揃えることで対応している スカートの中から出てくる様はある種卑猥である 威力が劣化しているとはいえ、15mmの装甲を貫通する能力がある 射程も、基本的に近接戦闘になりやすい武装神姫の戦闘では問題にならなかった ちなみに、小型化によって軽量化された恩恵か、使い勝手は非常に良好で、後に少数生産であるが一般販売されている 用語 SOS技術研究所 元は人工筋肉関連の技術研究を行っていた研究所 現在は、神姫用人工筋肉のライセンスなどでウハウハ 金があるので、大分趣味に偏った研究に走っている それでも十分な成果を上げている ちなみに、SOSとは研究所を立ち上げたメンバー 所長の相馬、主席研究員の尾田、出資者の柴崎 それぞれの頭文字を取ったものである
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2162.html
ウサギのナミダ ACT 1-29 □ 結論から言うと、雪華とティアのバトルは、伝説になった。 別に、俺や高村、ティアと雪華がそう望んだわけではない。 これはある意味、雑誌記者の三枝さんの、俺に対する報復と見ている。 あのバトルから数日後、「バトルロンド・ダイジェスト」の記者である、三枝めぐみさんから、直接俺に電話があった。 どこから俺の電話番号を入手したのだろう? そう尋ねると、 「情報源に対する守秘義務があるので、答えられないわん♪」 と、はぐらかされた。 三枝さんという女性は、終始こんな風にふざけたような口調で話す。 三枝さんの用件は、先日の、ティアと雪華のバトルを記事にさせて欲しい、ということだった。 「その件は、最初に断ったはずですが」 「だから、直談判するために、電話したのよぅ」 三枝さんはとにかく記事にしたいということを熱っぽく語った。 だが俺は、頑として首を縦には振らなかった。 神姫風俗が大幅に縮小された今、自ら波風を立てることはない。 それに、高村たちにも影響があるかも知れない。 彼らは全国大会を控える身の上だ。変な噂を立てられて、迷惑をかけるかも知れない。 そういうことを説明した上で、とりつく島もなく断ったのだが。 三枝さんはめげなかった。毎日のように電話してきた。この記事に賭ける情熱は十分すぎるほどに伝わってきた。 そして、三枝さんはこう言った。 「だったら、記事を読んで判断して。 遠野くんが気に入らないところは直すようにするから。 直接会って話をしましょ」 俺は根負けした。 ある日、大学帰りの夕方に、大学近くの喫茶店で、三枝さんと待ち合わせた。 彼女から原稿のプリントアウトを受け取り、読む。 雪華の連載記事は、俺も読み続けてきた。それだけに、読み応えのある記事に仕上がっている。 あのふざけた口調で話す人物が書いたものとは思えないほどに。 だが、それでも俺は断るつもりだった。 読み終わった原稿を渡すと、三枝さんはがばっ、と俺に頭を下げた。 「ちょ、ちょっと、三枝さん……」 「お願い! 記事にさせて! 絶対いい記事にするから! 今回のバトルを記事にできなかったら、わたし、雑誌記者として一生後悔する! 次の号に載せるには、もう時間がないの! だからお願い!」 いつもふざけた口調の三枝さんが、このときばかりは真剣な声色だった。 「そう言われても……」 「あなたがどうしても直して欲しいところは、ちゃんと直す。何か条件があるなら、それも飲む。だから……」 「……高村と雪華は、承知してるんですか?」 それが一番気にかかるところだ。 彼らに迷惑はかけたくない。 「もちろん、了承済み。もうコメントももらってるわ」 俺は小さくため息をついた。 高村たちは、俺たちとバトルしたことで非難にさらされるようなことがあっても、大丈夫なのだろうか。 だが、あの雪華なら、たとえブーイングを浴びようとも、堂々としているような気はする。 彼らが了承しているなら、あとは俺の気持ち一つということか。 「……わかりました」 俺は渋々頷いた。 納得したわけではなく、単に俺が根負けしただけだった。 三枝さんは顔を上げると、きらきらと目を輝かせ、まわりの視線も関係なく、子供のようにはしゃいだ。 ……やっぱり断ればよかっただろうか。 それでも、記事の内容には条件を出した。 バトルを記事にする上で、神姫の名前が分からないのでは話にならないので、ティアの名前は記述を許可した。 バトルの写真も、ティアの顔は出してもいいことにした。 考えてもらいたい。 「神姫T」とか書かれ、顔に目隠しされた写真が掲載されては、よけいに怪しいというものではないか。 ただし、俺の顔と名前は一切出さないように言い含めた。 俺の素性がばれたら、日常生活が危うくなる可能性があるからだ。 もちろん、俺とティアのコメント取材には一切応じない。 高村たちのコメントでも、俺たちに対する具体的な記述については許可できない、と三枝さんに言った。 三枝さんはこれらの条件をあっさり飲んだ。 あとで修正版の原稿を送ってもらい、チェックしたが、約束は守られていた。 俺は少しだけ安心して、記事にOKを出した。 せめて、ティアが掲載されているバトロンダイジェストは買おう、と思った。 だが、俺は分かってなかった。 三枝さんが嘘をついている……いや、すべてを俺に話してなかったということに。 そのバトロンダイジェストの発売日。 俺は最新号を購入すべく、コンビニに立ち寄って、雑誌コーナーに足を向けた。 雑誌コーナーの棚を見て。 俺はひっくり返った。大真面目にその場ですっころんだ。 バトルロンド・ダイジェスト最新号は置いてあった。 その表紙。 雪華と……なんとティアが写っている。 しかも、あのバトルの後、泣いているティアを雪華が抱きしめているシーン……その写真だったのだ。 表紙には大きな文字でこう書かれている。 「特集:~ 絆 ~ 武装神姫はなんのために戦うのか?」 「……聞いてないぞ……?」 俺はうめく。 完全に不意打ちだった。 とりあえず雑誌棚から、バトロンダイジェストを一冊ひったくると、大急ぎで会計をすませた。 さすがに立ち読みする勇気はなかった。 コンビニの店員がいぶかしげに俺を見ていたような気がするが、一切無視した。 なお、バトロンダイジェストの隣には例のゴシップ誌が置いてあったが、すでに神姫がらみの記事は掲載されていない。 神姫風俗摘発の後に指導が入ったらしく、謝罪文まで掲載されていた。 大城が後に教えてくれた。 アパートに帰って、雑誌を開く。 最新号の巻中のカラーページが、表紙にあった特集にまるまる当てられていた。 三枝さんが俺に見せた原稿は、記事の三分の二程度。バトルの詳細な解説が主な内容だ。 残りの隠されていた部分は、試合後の様子である。泣きじゃくるティアと、敗北を認めた雪華。 あの時の様子が詳しく書かれている。 「うわあぁ……」 一緒に記事を見ていたティアが奇妙な声を上げた。 まあ、俺もそんな声を上げたいような気分だった。 俺に見せられなかった後半部は「武装神姫はなんのために戦うのか」という問題提起になっていた。 雪華は「マスターのために戦う」ことこそが、武装神姫としての本分であることをコメントしている。 「人は武装神姫を戦わせる。それは名声のため、お金のため、バトルの楽しさであるかも知れない。 戦わせる理由はマスターによって様々だ。 しかし、神姫にとって、戦う理由は皆同じだ。。マスターの望みを叶えるために戦っている。 もう一度振り返ってみて欲しい。 神姫は何を思い、なぜ戦うのか。 自分はなぜ、自分のパートナーを戦わせているのか、を」 記事はこう結ばれていた。 そして、その問いかけに答えるように、特集記事の後半は、神姫とマスターの絆を思い起こさせる、過去の名勝負のダイジェストが紹介されていた。 読み終わった俺は、速攻で三枝さんに電話をした。 もちろんクレームを入れるためだ。 しかし。 『あらん、君の要望は全部通してるわよん♪』 ……この間の真剣な口調はどこへやら。 また人を小馬鹿にしたような口調で煙に巻こうとする。 確かに、記事の内容は、俺の要望をすべて通したものだった。それは間違いないのだが。 「だけど、表紙に巻中特集なんて言ってなかったじゃないですか!」 『いつもの連載記事とも言ってないけどぉ?』 ……これが社会人の知恵という奴なのか。 こういうずるがしこいだけの大人にはなるまい。 『でもぉ、今回の特集、大反響なのよぅ♪ 朝から電話がひっきりなしにかかってきてね、編集者としては嬉しい悲鳴だわ♪』 それは、この間のバトルが公に、広く知れ渡ったことに他ならない。 「それが困るって言ってるんです! だいたい、クイーンに悪影響が出たら、どうするつもりなんですか!?」 『あ、それは大丈夫』 「は?」 『雪華も高村君も、別にかまわない、って言ってたわん♪』 ……余裕だな、クイーン。 『あ、また電話。今日のお姉さんは忙しいの。まったねぇん♪』 電話は一方的に切られた。 くそう。 確かに、記事の内容は好意的なわけだし、俺の要望も通っているから、前みたいに問題になることはないと思うが……。 三枝さんは、記事は大反響だ、と言っていた。 それが俺たちにどんな影響を及ぼすのか、想像もつかない。 眉間にしわを寄せて考えていたからだろうか。 ティアが少し心配そうな顔で俺を見上げている。 「心配するな。大したことじゃない……いままでに比べたらな」 俺はティアに少し笑いかける。 そうすると、ティアもほっとしたように微笑んだ。 そうだ、これでいい。 俺たちはもう、何も恐れることなどないんだ。 何があっても大丈夫だと、今は思えるようになった。 ところが、事態はいつも予想の斜め上を行く。 土曜日にゲームセンターに行くと、俺たちに対する態度は一変していた。 俺たちが店に入ると、いきなり取り囲まれた。 いままで俺たちを罵倒していた連中が、手のひらを返したように賞賛の言葉を口にする。 誰もが俺たちとの対戦を望み、サインまで求めてくる奴まで出てくる始末だった。 その人波をかき分けて、現れた神姫プレイヤーたちがいた。 彼らは『ハイスピードバニー』とのバトルをするために遠征にやってきたマスター達だった。 どうやって俺の正体を知ったのだろう。わざわざ俺たちのホームグラウンドであるこのゲームセンターまで探り当て、やってきたのだった。 大勢の客にバトルロンドのコーナーまで引きずられそうになり、俺は……逃げ出した。 ありえない、と思った。 いままで俺たちをさんざん苦しめておいて、雑誌に掲載された瞬間から態度を一八○度変えるなんて。 俺は軽い人間不信に陥った。 「……そういうわけで、呼びつけたりして、ごめん」 「仕方ないわ。ゲーセンじゃ、ゆっくり話もできないものね」 駅前のミスタードーナッツに駆け込んだ俺は、久住さんに電話をして、わざわざここまで来てもらった。 ゲーセンであんなことにならなければ、呼び出すこともなかったのに。 節操のない客達に恨みがましく思うのは、俺の心が狭いからだろうか。 それでも、久住さんが微笑んでくれているのが救いだった。 「久住さんには改めてお礼を言いたくて……ありがとう。何もかも、君のおかげだ」 「大したこと、してないわ」 いつか聞いた言葉を、久住さんはまた口にした。 「……エルゴの店長が何かしてくれたのね」 「ああ……詳しくは教えてくれなかったけど」 ふと思い出す。 エルゴの、日暮店長の言葉。 『菜々子ちゃんを救ってやってくれ』 あれはどういう意味なのだろう。 それを当の本人に聞いてみてもよかったのだが、目の前の久住さんからはそんな影など微塵も感じられない。 俺は尋ねる気をなくして、代わりにこう言った。 「今度、エルゴの店長にもお礼にいかなくちゃ。買い物もあるし」 「買い物? ティアに?」 「ああ。ティアのレッグパーツを改良するんだ。その部品を揃えにね」 そう。俺はティアの武装の改良を計画している。 雪華とのバトルでわかった、レッグパーツの限界値とティアの機動の最大値。 そして、新しい戦い方。 それらを含めて、レッグパーツをバージョンアップする。 そうすれば、ティアの戦いにはさらに大きな幅ができるだろう。 「ね、そのお買い物、わたしも一緒に行っていい?」 久住さんからの嬉しい申し出。 「……どうかな。ライバルに手の内を見せるのは」 「えー?」 「冗談だよ。久住さんさえよければ、一緒に行こう」 頬を膨らませた久住さんは、俺が承諾すると一転、にっこりと笑った。 女の子はずるいと思う。 こっちの必死の攻撃を、笑顔一つで無しにしてしまうのだから。 「しかし……ゲーセンがあんな状態だと、対戦で新装備が試せないな……」 「べつに、あのゲーセンにこだわってるわけじゃないんでしょう?」 「まあ、そうなんだけど……」 だからといって、全く知らないゲーセンに行くのははばかられる。 なおさら何が起きるか分からないからだ。 「だったら……近くていいところ知ってるけれど」 「え? どこ?」 「わたしのホームグランドのゲームセンター。どう?」 「なるほど……」 いいアイデアだった。 久住さん行きつけのゲーセンならば、おかしなところではないだろうから、安心だ。 久住さんも一緒に来てくれるなら、ミスティを相手に練習もお願いできる。 大城たちが来ないのも、都合がいい。 「今度、案内してくれるかな」 「もちろん、いつでも」 久住さんはまた反則な笑顔を見せる。 俺はそんな彼女を眩しく見つめた。 ふと、久住さんは少し真顔になって、俺に尋ねた。 「でも、バトルに随分熱心ね。何かあるの?」 「ああ……約束があるんだ」 「約束……?」 そう、約束だ。 俺たちをバトルロンドに引き留めた、虎実との約束。 レッグパーツの改良をそれに間に合わせたい。 大きな障害を乗り越えてきた俺たちの今を見せることで、虎実の思いに報いたいと考えている。 「ふうん、虎実がそんなことをね……」 「そのためというわけじゃないけど、戦いの幅は広げておきたい。虎実も相当パワーアップしているだろうから」 「ねえ、もし虎実と対戦することになったら、わたしも観に行っていい?」 「もちろん。それに、それまでの練習相手をお願いしたいんだけど」 「……ライバルに手の内を見せてもいいの?」 「まいったな……勘弁してくれ」 俺と久住さんは笑いあった。 こうして笑っていられるのも、目の前の人を筆頭に、様々な人の支えがあったからだ。 今の自分たちは孤独ではないと、身に染みて思う。 俺はテーブルの上を見る。 俺と久住さん同様、ティアとミスティも穏やかに笑いあっている。 俺はそんな神姫たちの姿に目を細めた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2627.html
あれから何日か経った。 神姫が家に来て、二つわかったことがある。一つは神姫NETサービスで確認してみたら、この子の個体名は本当になくなっていた。 武装神姫は起動時、オーナー登録を定められている。そして事故・ロストなどの要因で神姫がなくなると、登録データは消すことになる。つまりはこの子のオーナーが、データを必要しなくなったということだ。 名前がなくなり、悲しい顔になっていたので僕が代わりに新しい名前をつけた。 (今日からキミは、詩音―シオン―だ) そう言ったら、嬉しそうにまた泣いた。よく泣くよな、と、『シオン』の頭を撫でながらそう思った。 もう一つは時折、シオンは考え込んでて遠い目をしていること。 シオンはやっぱり、気になるのではないだろうか。前のオーナーが、ストラーフ型の姉が、今頃どうしているのか。 聞いてみても、はぐらかされるだけで本心はわからない。名前の繋がりも消されていているのに、それでもだ。 ―――― そのシオンは今、僕が学校の図書室から借りてきてた本を読んでいる。 僕が学校に行っている間は、シオンは暇なのだ。それで何か、やりたいこととか、したいことある? と聞いてみたら、本が読みたいと言ってきた。 物語の本が読みたいとのことで、文学、推理、ファンタジー、恋愛、はたまた時代劇小説を数冊借りてきた。 それら全て読破するらしい。 僕も本は好きなので、一緒に読んでいるところでもある。 本が好きで物静かで戦う事が苦手なアーティル型。すごく珍しい気がする。 「少し聞きたいことがあるんだけど」 気になったことがあるので、本から顔をあげてシオンに話しかける。 「なんでしょうか」 「シオンの、前のオーナーのことをさ、教えてくれないかな、なんて」 「……どうしたんですか?」 「い、いや、僕の友達がゲームセンターで、強いストラーフとそのオーナーの試合を見たっていうから、もしかしたら、前のシオンのオーナーなんじゃないかなと、思ってさ。はは」 シオンが悲しそうな顔色になった気がするので、少しどもってしまった。別にこれはとっさのことでの言い訳ではない。 今日、淳平とミスズにシオンのことを詳しく話した。そしたら、もしかしたらと思ったのだろう。最近、ストラーフ使いのオーナーがゲームセンターに来ていると話してくれた。 「真っ赤な剣を持っているストラーフでしたか?」 「うんうん、言ってた。神姫一体ぐらいの大きさの剣を使ってるらしくて、すごく強かったらしい。オーナーの人も女性だったけどすごく貫禄があったって」 「やっぱり、マス……前マスター凛奈さんとイスカお姉ちゃんですね」 ビンゴだった。 (そして、最近現れたということはあっちもシオンを探している可能性があるな。) 「凛奈さんとイスカっていうんだ。……会いたい?」 とりあえず考えは横に置いておいて、聞いてみる。 「……わかりません。勝手に出て行ったのに、会ったって何も言えるはずないです」 そう言って、悲しそうに微笑むシオン。 「でも」 「あっちも、私みたいな玩具のことなんて気にしてないですよ。きっと、色々な人とバトルしたいから、ここにも来たんでしょう」 そう言って、本に顔を戻す。 ダメだ。暗い方に考えがちになっている。やっぱり、シオンの為にも何かしなくちゃいけないよな。この子はもう僕の神姫なんだから。 ―――― 学校の教室の風景。四時間目の授業が終わった。 昼休みになり、先生が出ていくと、クラスの各々、机をくっつけあって弁当を持ってきて食べる人や、学食に行って食べる人、購買部に行ってパンを買う人がいる。 僕は、その中では弁当派だ。 クラスの皆には自分で弁当を作ってくるなんて、女の子みたいと言われたことがある。 うるさいな、ただでさえ童顔っぽいのががちょっとコンプレックスなのに。僕はもうちょっと、ワイルドな雰囲気の大人を目指して、行く行くはバイクの免許とかもとって……。ああ、でもタバコは吸いたくないな。 「よう! 螢斗は今日も手作りお弁当か、女の子っぽいな! そんで一緒に食おうぜ」 「あのさ、なんで淳平はいつもそう言ってから、隣で食べようとするの?」 「いやいや、もうこれは恒例行事でしょ。お弁当を出すたびに、螢斗は女子にも男子にも尊敬の眼差しが向けられるのさ。そんで卵焼き何個かくれ!」 はいはいと返事をして、淳平に分ける。 お弁当は少し多めに作っておいてある。が、断じて淳平の為じゃない。 ミスズの為だ。淳平は弁当なんて持ってこないし、購買のパン数個しか食べない。神姫にあげられる食べ物がパンの切れ端だけだなんて可哀そうすぎる。 ミスズはそれでもいいみたいだけど、僕が隣で見てられない。 淳平も食べるがちゃんとミスズにも分けてあげている。そんなのが微笑ましく思える。 「それで、どうなりました? シオンさんのこと」 「モグモグ……そうだな。モグモグ……気になってた」 「淳平は食べてから喋ってよ。その件の事で帰りにゲームセンター行こうと思って、そのストラーフ使いの人に会ってみたくなってさ。ちょっと一緒に来てくれない?」 「ん……いいぞ。ミスズの新しい戦法を試そうとしていたところだ。スペシャルでカッコイイのを寝ずに考えた」 「マスター!! もうすぐ高校では試験もあるんですから、勉強もしてください」 ミスズはしっかりしてるけど、淳平はバトルとかどうなんだろうか。こんなことを言ってるけど、真面目に取り組んでいる結果かもしれない。 武装神姫同士のバトル。 改めて考えると、どうなのだろうか。一応は遊びだし、バーチャルらしいので、神姫が亡くなってしまうことはない。テレビでも、有名な大会は夜中に中継されている。 けど、僕は見たことはないし、淳平が試合の事とか一方的に話すのを聞いたぐらい。上位ランクからの大会とかはリアルバトルもあるとのこと。 そんなレベルだとプロの領域だ。 シオンを持っていたオーナーもそんなレベルの人なのだろうかと考えたのだけど、止めた。バトルをするわけでもなし、一度会ってみる。 ただそれだけなのだから、気になることがあるから話してみたいのだ。 前へ 次へ